司法書士法人 なにわ Newsletter 最新号


           株券の電子化にむけた実務対応

 株券の電子化は、全ての上場株式の株券を強制的に無効にし、振替口座簿による管理に移行させるもので、施行日は平成21年1月5日となります。
上場会社の上場株式については、施行日にすべて振替株式(社株法128条)となり、上場会社の非上場株式については、施行日に株式は無効となりますが、振替株式にはならず、会社法上の株券不発行会社となります。
 非上場会社や外国会社(上場外国会社を含む)については、特に変更はありません。
 上場会社が、株主総会で定款変更をしていない場合でも、法律上当然に「株券を発行する旨」の定款の定めを廃止したものとみなすものとしていますが、施行日前に、当該定めを株主総会で廃止することもできます。いずれの方法にせよ、施行日の一ヶ月前までに、特別口座を開設する口座管理機関の名称及び住所等を公告しなければなりません。
 施行日前後においては、主に実務上の理由によって、公募増資や合併等のコーポレートアクションが制限される期間があります。
 現に株券が供託されている場合には、当該株券が決済合理化法の施行により無効なものとなる等の事態の発生について、供託者または被供託者において、供託書正本や供託通知書の確認、供託関係書類の閲覧をすること等によりその把握に努め、施行日までに、それぞれの供託の趣旨に応じた対応をする必要が生じます。例えば、担保(保証)供託の場合においては、施行日までに、供託者において、監督官庁の承認を得て、新たに金銭または振替国債を供託物とする供託をしたうえで供託されていた株券の払渡しを受ける差替えの手続きをとることなどが考えられます。
 なお、振替株式については、制度上これを供託することができないこととされていますので、十分注意する必要があります。

@ 振替機関に対する同意 
 株券の電子化では、すべての上場会社が振替機関に取扱いの同意をすることになります。なお、上場会社が、振替機関に対し同意期限日までに取扱いの同意を行わなかった場合には、施行日において振替株式に変更することができないため、株式は、会社法上の株券不発行会社となり上場廃止となるので、必ず取扱いの同意を行わなければなりません。この同意は、取締役会の専決事項です。

A 株券の準備 
 株主が、保管振替機関に株券を預託し、あるいは、保管振替機関から株券の交付を受ける事ができるのは、施行日の二週間前の前日までであり、その預託最終日が近づくに つれて、株券の交付請求が飛躍的に増大する可能性があります。預託最終日までに株券を交付することができない事態が生ずれば、会社の法的責任を問われかねないので、予備株券の在庫管理には注意すべきでしょう。なお、制度施行日の一ヶ月前の日から施行日の二週間前の日の前日までの間(特例期間)、顧客の承諾のない預託(決済合理化法附則11条)および質権者の預託(同附則10条)が認められています。

B 口座管理機関の名称等の公告 
 上場会社は、同意期限日(施行日の一ヶ月前)までに、@当該上場会社が、施行日における株主(株主名簿に記載されている質権者の質権の目的である株式の株主および保管振替機関に株券を預託している株主を除く)および当該質権者について、新規記録通知をする旨、A特別口座を開設する口座管理機関の名称および住所を、定款所定の公告方法によって公告しなければなりません。公告方法が電子公告である場合の公告期間は一ヶ月と解すべきです。また電子公告については、公告期間中、当該公告の内容である情報が不特定多数の者が提供をうけることができる状態におかれているかどうかについて、調査機関に対し、調査を行うことをもとめなければなりません。公告期間の中断があるときは、会社法940条3項に規定する「公告期間」、すなわち、公告の中断が「10分の1」を超えていないかどうかの判定をする際の分母たる「公告期間」については、実際に電子公告を行った期間ではなく、電子公告を行わなければならない期間、すなわち法定の(最短の)公告期間であると解されます。例えば、当該電子公告を平成20年11月1日午前零時から開始した場合には、これを平成21年1月5日までの間継続して行ったとしても、平成20年11月1日から11月30日までの期間をもって、公告の中断が「10分の1」を超えていないかどうかの判定をする際の分母とすべきことになります。

C 株式取扱規程の改訂 
 株券の電子化により、株券の存在を前提にしている次の規程は改正をする必要があります。@株券の種類等株券に関する規程の廃止 A株券電子化後は、振替機関がすべての株主の情報を集約して名寄せした上で、総株主通知(社株法151条)を行い、その情報に基づき株主名簿が作成されるため、名寄せ・名義書換・株主名簿の作成に関する規程の改正 B総株主通知では、株主の印鑑の印影に関する情報が送付されない(実質株主票の廃止)ため、従来の届出印による株主の本人確認制度が廃止されますので、届出印に関する規定が廃止されるほか、個別株主通知(社株法154条)その他の本人確認手段に関する規定の新設 C単元未満株式の買取請求や売渡請求の手続きにおいては、必ず会社の口座と株主の口座との間の振替を利用することになるため、口座管理機関等の取次を前提とした手続きに変更 D会社の請求による総株主通知(社株法151条8項)および情報提供請求(社株法277条)における「正当な理由」を各社の必要に応じて規定 E振替株式が信託された場合、振替口座簿に記録され、株主名簿には記録されなくなるため、信託財産に関する表示についての規定の廃止

D 登記 
 当該事項に変更が生じたときから二週間以内に、その本店の所在地において変更の登記をしなければなりません。職権による変更は行われませんので、上場会社は変更の登記の申請手続きをする必要があります。申請手続きには、登記の申請書に、みなし定款変更に該当することを証する書面を添付しなければなりませんが、施行日後、振替機関から交付される下記証明書だけ添付することになります。


 

                          平成__年__月__日
(本店所在地)
__株式会社 御中
                  東京都中央区日本橋茅場町二丁目1番1号
                    株式会社 証券保管振替機構
                    代表取締役社長 竹内克伸

                 証明書

 当機構は、__株式会社(本店 __)(以下「発行者」という。)が発行する株券(以下「当該株券」という。)について、下記の事項を証明する。

                  記

 当機構は、発行者から株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年法律第88号。以下「決済合理化法」という。)附則第2条の規定による廃止前の株券等の保管及び振替に関する法律(昭和59年法律第30号。以下「旧保振法」という。)第6条の2の同意を得て、決済合理化法附則第1条に規定する施行日の前日(平成__年__月__日)まで、当該株券を旧保振法第4条第1項の規定に基づき当機構が行う保管振替業において取り扱っていたものであること。

以上

(注)当証明書は、株券を発行する旨の定款の定めの廃止による変更の登記の申請をする際の商業登記法(昭和38年法律第125号)第63条に規定する書面に代わるものとして発行するものである。


詳しくは、当所までお問い合わせ下さい。
                       司法書士法人なにわ合同
                       担当 阪 本 篤 史

 



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